説得理由は説得させたい本人に考えてもらうと絶対に反対されない

 たとえば「嘘でもいいから私のいいところを探して教えて」と友人や同僚に頼んだとします。

説得理由は説得させたい本人に考えてもらうと絶対に反対されない
面倒くさがられるかも知れませんがいろいろ考えて教えてくれるでしょう。「笑顔が素敵」「マメなところがいい」「仕事に真剣に取り組む姿勢が魅力」といくつか挙がるはずです。するとどうなるか?

相手はあれこれとあなたのいいところを探しているうちにどんどんあなたのことを好きになっていきます。自分で自分を説得して「いいところがいっぱいある人だ」と好意を持つようになるのです。

お客に「この商品の魅力は何だと思いますか?」と訊ねるといろいろウリを探してくれるでしょう。たとえ最初は関心を示さなかった商品でも、訊ねられて魅力的なポイントを探すうちに、どんどんその商品の良さに気づき、欲しくなってしまうのです。

犬も猫も好きでない人に「犬と猫どちらが好きですか?」と訊ねても同じです。「どちらかと言えば猫(犬)かな」と無理やり選ばせて「どうして?」と更に突っ込んでみましょう。すると、相手は好きな理由を一生懸命ひねり出します。考えているうちに自分で自分を説得して、どんどん猫(犬)が好きになっていきます。

実用的に使うなら、子供に「国語と数学どっちが好き?」と訊ねるのもいいでしょう。「どうして?どうして?」と突っ込んでいくうちに子供は好きな理由を考えて、ドンドンその科目を好きになってくれるはずです。

心理学の実験でもこの説得方法の有効性は証明されています。アメリカの大学生たちに次のようなテーマで論文を書かせます。

「CIAは外国のスパイを防ぐために市民の郵便物を勝手にあけても許される」

プライバシーが侵害される、誰もが反対するテーマです。しかし実験のため学生たちにはあえて賛成の立場で論じてもらいます。

すると、賛成の意見を考えているうちに「そういうことも許されるんじゃないか」と次々と意見を変える学生が現れたのです。

人を説得するとき、普通はこちらが用意した理由で相手を説き伏せます。しかし説得理由を相手自信に考えてもらえば、反対されることはありません。説得が必要なすべての場面で上手に仕向けることは難しいでしょうが、一つの方法として知っておくと、使える場面が来るかもしれません。